「iPhone×Music」という本を読んで

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iPhone×Music iPhoneが予言する「いつか音楽と呼ばれるもの」」という本を読んで、
いろいろ思うことがあったのでメモ。

この本、iPhoneの音楽関連アプリを紹介するだけの本かと思いきや、
自分の修士研究にすごい近い内容のことが書かれていたのでかなり刺激的でした。

Auditory IconとかEarconsとかいう単語を再び目にするとは思わなかった。
ジョン・ケージのこととか、アルビン・トフラーのこととか引用して、メディア論・音楽論に深く切り込んでます。


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未来学者アルビン・トフラー
ProducerとConsumerを合わせた造語、Prosumerを作ったヒト。

彼は文明の歴史を大きく3つにわけ、それぞれの変革期を「波」にたとえている。

「第一の波」
原始的な社会に農業がもたらされ、自給自足の地方分権的な経済と素朴な分業に基づく社会が誕生した。

「第二の波」
17世紀産業革命に端を発した社会の産業主義化。
大量生産、大量販売、流通システムに基づく経済が、自給自足の経済を駆逐し、家族や地域の共同体と言った社会システムを作り替えた。

「第三の波」
生産技術が高度化した結果、各消費者に合わせたテーラーメードの製品を、大量生産の場合と同等のコストで作り出す事が可能になる。
また情報も、マスメディアに支配された少数のチャンネルを通してトップダウンに伝達されるだけでなく、コンピュータネットワークに寄ってより分散的・双方向的にやり取りされるようになる。

これらはフランスの経済学者・思想家のジャック・アタリの音楽論と一致する部分がある。
彼は音楽の歴史を、その消費の形態に基づいて4つに分類した。
「儀礼の時代」
「演奏の時代」
「反復の時代」
「作曲の時代」

現代では、様々なものが消費者自身の手によって作られるようになった。
音楽もそうなりつつある。
服・靴やサングラスなどはすでに、Web上でカスタマイズした商品を手に入れることができる。
今一番技術を結集したパーソナルな所有物である自動車もいずれそうなるだろう。そうなったら、世界に誇るトヨタやGMといったブランドが意味を成さなくなるかもしれない。
一番高い買い物である「家」なんかは、大昔は自分で作るのが当たり前だったのだろうけど。
一度「第二の波」によって、商業化したものが再び自給自足に戻って行くという考え方をすると、とても不思議な感じはする。歴史は繰り返して行くとすると・・・またそれが面倒になって、商業化するのかもしれない。

とはいえいま我々は第三の波にのまれようとしている。
第三の波が世界をおおいつくしたとき、人々の会話はこんな感じだろうか。
「昔の人は同じ曲を何度も何度も聴いてたなんて信じられない!」
「昔の人って、メーカーが作った同じ車に乗っていたんだってね。人と同じ車に乗るなんて、センスないよねー」

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このページは、megayosukeが2009年8月13日 00:48に書いたブログ記事です。

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